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2020.07.23

新型コロナウイルス感染症と共生する在宅認知症ケア

こんにちは、在宅認知症センター長の坂戸 美和子です。
本日は『新型コロナウイルス感染症と共生する在宅認知症ケア』をテーマに記載します。

身体の「密」を避けながら、互いの心の「密」を保つ

身体の「密」を避ける。これは、これまでも身近なところでは例えばインフルエンザの罹患時など、短期であればなかったわけではありません。しかし、今回は、全ての人が三密を長期的に回避して行くことが求められています。身体の「密」は、心の「密」と密接な繋がりがありますが、三密が求められている今、私たちには、身体は「密」にならず、心のみが「密」になるという難題が与えられていると言えます。

身体の「密」を避けながら、心の「密」を作りだすことの矛盾と難しさ

人間は、物理的な距離が遠ざかれば、心の距離も遠くなりがちです。心が遠くなれば、心細くなったり、イライラも増えていきます。普通ならば「新型コロナの流行が収束するまで仕方がない」と自分に言い聞かせることができますが、短期記憶の低下が顕著な認知症の方は理解できない場合も多く、これまでの日常が変わってしまったことからストレスがたまり、行動として、大声を出す、どなる、せわしなく歩き回るなどの不穏行動、⚪︎⚪︎がしたい、⚪︎⚪︎(お子さんやお孫さんなど)に会いたいと言いはるなどこれまで見られなかった行動を取ってしまうこともあります。実は私たちもそうしたいと思っているけれどできないことを、強く求めるようになることもありますが、それらは全て、心の「密」を求めて起きていることなのです。

身体の「密」を避けながら、心の「密」を作りだす方法

☆心の距離を近くするために
近しい人から手紙を書いてもらって一緒にみる(文字の理解が難しくなっている時は絵などでも良い)。

☆気分を軽くするために
家の周りの散歩などの軽い運動を一緒にしてみる。

☆昔の記憶に働きかける
認知症の方は、慣れ親しんだことや昔の記憶は鮮明です。昔一緒に撮ったホームビデオや写真を一緒に見てみたり、若い頃流行っていた歌を一緒に聞いてみる。

これらはごく一部の例です。患者さんの数だけ、また、家族の数だけ、方法がそれぞれにあるでしょう。それらを見つけて行くことを、「家族の発見」として楽しむことができたら素晴らしいですね。

医療法人社団 双愛会
在宅認知症センター
センター長
坂戸美和子

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