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2023.02.28

~自分も受けたいエンゼルケア~月刊*ファミクリWOCかわら版3月号_vol.29

WOC(ウォック)とは、褥瘡をはじめあらゆる創傷とストーマ、失禁分野について専門性の高い看護を実践できる看護師の通称です

2023年3月(Vol.29)

皆さま体調はいかがでしょうか?まだまだ冷えるこの時期ですが、花のつぼみや暖かい陽差しに春の息吹を感じてうれしくなります 🌸 3月は別れの時期でもあります。大切な方とのお別れに寄り添う、グリーフケアを兼ねたエンゼルケアをご紹介します。

在宅看取りの場合、医師の死亡確認があり、この時に身体の挿入物を取り除きます。死亡確認後、担当の訪問看護ステーションよりご家族へエンゼルケアの希望を伺い、承諾された場合にエンゼルケアを行います。

ご遺体への理解

 死後いったん筋肉は弛緩しますが、 1~3時間後から下顎、3~6時間後から全身へ硬直が始まり、半日~ 1日の間にピークを迎え、その後再び弛緩していきます。
 全身の皮膚の乾燥は循環が停止した直後から始まり、元に戻らない変化が起こります。まっ先に口唇にワセリンやリップクリームをたっぷり塗って乾燥を防ぎましょう。参考文献:小林光恵著訪問看護師のエンゼルケアhttps://www.ns-pace.com/article/a7664/

2.ご家族に準備して頂くもの

・ご本人らしい服装(本人や家族のお気に入りの服装、仕事が好きだった方は仕事着の場合も!)
・下着とおむつ(肛門等は分泌物が出ないように綿を鶏卵大入れますが、万が一分泌物が出た時に備える為)
・口腔ケアグッズ、シャンプー・リンス、ボディーソープ、バケツに40℃くらいのお湯、ペットボトル等の洗浄ボトル2本、
 タオル3枚(都度蒸しタオル作成)、バスタオル2枚、ゴミ袋大3枚、レジ袋1枚、おむつや尿取りパッド5枚(洗浄時用)、
 ドライヤー、保湿剤、本人の化粧道具

3.エンゼルケアの実際

・部屋の温度は低めにして換気を行います(ご遺体の痛みを最小限にするため)
・ご家族と一緒に行います(可能なら本人の好きな曲などをBGMにかけてくださいね)
・脱衣介助を行いお身体の下にゴミ袋とおむつを敷きこみます
・お顔のケア(蒸しタオルで汚れを浮かせて3回保湿剤を塗布)→口腔ケア→洗髪
 →全身の泡浴(泡用ならそのまま、液体のボディーソープならレジ袋に2~3プッシュ+お湯 50㏄+空気を入れて袋
 を振って泡を作り、全身に泡をつけて軽くマッサージします)
 →全身にお湯をかけてやさしく拭く
・全身の保湿を行い、肛門等に分泌物が排出されないように綿をいれます
・旅立ちのお着換えをします
・エンゼルメイクを行います(ディスポのメイクパレットを持参し、肌色の調整を行います。女性の場合でしたら、ご本人の化
  粧品を使用したり、「後でお孫さんにマスカラやマニキュアを塗っていただくと良いかもしれません」とお声掛けしていま
  す)
・完成後にご遺体を後ろから支えて、ご家族とハグをしていただいたり、写真を撮っています

こういった一連の流れで「どんなお母さま(お父さま)だったのですか?」とご家族の皆さまの話を傾聴しています。お身体に触れながら、話の中で泣いたり笑ったりすることでご家族の心を慰め、グリーフケアに繋がるのではないかと思っています。

お写真によるWOC相談も承ります!!
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医療法人社団 双愛会
ファミリークリニック蒲田・品川・多摩川
野口祥子(のぐちやすこ)
皮膚・排泄ケア認定看護師