ファミリークリニック 管理栄養士の青山です。
糖尿病食の食事療法については以前のブログでご紹介しましたが、今回は糖尿病性腎症についてのお話です。
糖尿病性腎症とは、糖尿病の合併症の一つです。
腎臓の機能の状態により5段階に分類され、それぞれの状態に合わせて食事療法も変わっていきます。1日〇〇kcalという同じ食事を続けるのではなく、その時々の状態に合わせて食事を変えていかなければいけません。
糖尿病性腎症の食事療法について、簡単に紹介します。
【 糖尿病性腎症の食事療法 】
1.まずは血糖管理が基本。
糖尿病の食事療法の基本的な部分は変わらず注意が必要です。主食・主菜・副菜を揃えてたべたり、間食をしない、規則正しく食事をとることは継続していく必要があります。
2.腎機能に応じて塩分や蛋白質、カリウムなどの制限を行う。
①塩分制限が必要になった場合
塩分は1日6g未満が目標で、汁物や麺類、加工食品などを控える必要がでてきます。
②蛋白質制限が必要になった場合
蛋白質の多い肉や魚などの主菜や牛乳などの乳製品の量は調整が必要です。また、ごは
んやパンなどの主食にも蛋白質は含まれるため、食事全体の蛋白質量を考慮する必要 があります。
③カリウムの制限が必要となった場合
カリウムは生野菜や生果物、豆類などに多く含まれます。調理法や食品選びを工夫する
必要があります。
3.指示エネルギー量が変化する。
2で紹介したように制限が増えてきますが、主食や主菜を減らすだけでは摂取するエネル
ギー量が減ってしまいます。しかし、腎臓の機能を保つためには糖尿病食の時に制限して
いた状況とは異なり、エネルギーを付加していく必要も出てきます。その場合にはどれく
らい、どのような食品で増やすかを考える必要があります。蛋白質で増やせない分、糖質
や脂質でカロリーアップを行うことが多いです。
※おおまかにいうと上記のような食事療法となりますが、腎臓の機能に合わせて血糖を整える食事から腎臓を守る食事に切り替わっていく過渡期の食事のため、そのときそのときで注意事項が変わってきます。糖尿病と診断されたときのままの食事を続けいることも、自己判断で極端な制限を行うこともおすすめできません。腎機能に合わせた食事療法を栄養士と一緒に行っていきましょう。
今回、大田区の糖尿病性腎症重症化予防プログラムに参加することとなりました。ご自宅に書類が届いている方は主治医にご相談のうえご参加ください。半年間、定期的に保健指導を受けることができます。腎機能の悪化を予防し、厳しい食事や生活の制限を行わなくて済むようにしてみませんか?