こんにちは、事務局長の清水です。
本日は対談形式で当法人の『在宅緩和ケアセンター』についてご紹介いたします。
よろしくお願いいたします。
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病院と在宅医療の違い~せん妄について~
清水:
本日は『在宅緩和ケアセンター』のことを中心にお話を伺えればと思います。
田代先生は病院のPCT(Paliative Care Team:緩和ケアチーム)などを経験した後、昨年より当院にて在宅医療に携わっていますが、病院と在宅医療の違いはありましたか?
田代:
そうですねー。
まずはじめに、せん妄の患者様の違いに気が付きました。
病院時代は半数以上はせん妄との戦いだったと思います。
しかし、現在の在宅医療の患者様を比較するとせん妄の方が極端に少ないです。
入院時にはせん妄に悩んでいた患者様が、ご自宅に戻ると驚くほど落ち着いているというケースも少なくありません。
この違いについては根拠をつけられていないのですが、医療面だけではなく療養環境の変化により状態が安定するという症例もあるように思います。
伊谷野:
確かにそれはありますね。
病院でせん妄の激しかった患者さんでも退院して自宅に戻ってくると、これまでの状況が嘘だったかのようにせん妄が良くなる事が多いんです。
これまでのせん妄軽快のケースのデータをまとめて在宅緩和ケアチームで振り返り、他の事業所と事例共有することで地域の成長にもつながるかもしれませんね。
今後の取組みとしてはどのような動きが良いでしょうかね?
田代:
退院時から時系列に患者様の状態を評価していくことが良いと思います。
そのデータが集まってくれば、せん妄が強くなる前に対応ができてくるかもしれません。
人生会議(ACP:アドバンス・ケア・プランニング )について
清水:
病院の医療従事者にもお伝えしていきながら、スムーズな連携が作れていくと良いと思いました。
その他、在宅医療に携わって気づきはありましたか?
田代:
2つ目は人生会議(ACP:アドバンス・ケア・プランニング )について考える機会が増えてきました。
ACPについて、概念自体は広まってきているものの、具体的な事例はまだまだ少ない状況だと感じます。
医療介護従事者だけではく、患者様やご家族に自分自身で前もって考え、共有することのきっかけ作りをしていくことが重要だと思います。
そこで当院はパンフレットでのご案内や亀田総合病院の先生方が監修された『もしバナゲーム』といったカードゲームを活用して、色々な方法を試しているところです。
伊谷野:
いいですね!
将来的にACPの具体的な取組みが他の地域にも広まっていくような機会も作っていきたいですね。
独居の患者様と在宅医療について
田代:
最後は独居の患者様についてですね。
結論から言うと『独居ということだけを理由に在宅に帰れないことはない』と感じています。
「自宅に戻りたい。自宅で過ごしたい」というご意向があれば、独居の方でもご自宅に帰ることが可能だとわかりました。
今振り返ると私の病院時代では、独居 ≒ 在宅には帰れないという考えが私を含めて病院の医療従事者に多かったように思います。
しかし、実際に在宅医療に携わっている上で、独居の患者様は全く珍しくありません。
在宅サービスが増えてきているので、他事業所や多職種との関わりで適切なサポートができれば、十分にご自宅で療養生活を送っていただけています。
伊谷野:
独居は連携が必須ですよね。
情報共有と事例を重ねていきながら、地域で支えていけるようになりたいと強く思います。
在宅医療と病院の連携についてはどのように感じていますか?
田代:
在宅医療から入院移行になるケースについて、病院に送るべきときとそうではないときの判断についても認識が変わったかもしれません。
在宅医療でできることは想定より多く、最初にお話したせん妄のケースは安易に入院しないほうが良いこともあります。
その他、脱水時に皮下注射を使って在宅療養でも点滴が可能です。
一方で病院に送ったほうが良いケースというのもあります。
例えば、持続的な鎮静が必要な時は病院で適切な治療を受けたほうが良いでしょう。
これからの医療のカタチとして『ときどき入院、ほぼ在宅』 という言葉通りのことを体感できていると思います。
これからの在宅緩和ケアセンターの取組みで考えていること
清水:
ありがとうございます!
質問が前後してしまいますが、最後に伊谷野先生には在宅緩和ケアに力を入れている経緯を、田代先生には在宅に携わるきっかけをそれぞれ教えてください。
伊谷野:
2005年開業時から、『断らない在宅医療』という基本姿勢を続けています。
その姿勢を続けていると、近隣の医療介護関係者からは対応が難しいケースをご依頼いただくことが増えてきます。
その中でも緩和ケアの領域は年々強く求められてきました。
そうなると365日24時間対応しつづける在宅医療に対して、私1人で対応できる範囲にも限界が訪れます。
その状況を変えながら1人でも多くの患者様に安心をお届けでするためには、院内院外関わらず同じ想いを持っていただける仲間が必要になります。
1人の力より、仕組みや連携でカバーしていこうという考えに至ったのです。
今回、田代先生が加わったことにより、これまでも力を入れていた緩和ケアにより一層厚みが加わったと思います。
緩和ケアの領域は、城南地区だけではなく、日本全体の課題になっていると思います。
田代先生には、ぜひ好事例を作っていただいて勉強会や学会などで発表を行い、在宅緩和ケアの底上げに貢献していただければと思います。
また、連携先の病院や訪問看護ステーションの先生や看護師さん、ケアマネジャーさんとも事例を通じてフィードバックしあえる関係性を作っていただきたいです。
成長できる連携をぜひ実践してください。
田代:
がんばります。笑
学会発表などもできると良いですね。
これから2025年、2030年に向けて、人口動態が少子高齢化になることは間違いありません。
一方で病院ではすべての緩和ケア患者様を受け入れる財源も設備もないことが社会課題になっていきます。
在宅医療に携わろうと考えたのは、これから5年10年先のことを考えたときに、私自身が病院だけではなく在宅の緩和ケアにも携わってみたいと考えたことがきっかけです。
今はファミリークリニックに入職してみて、病院と同じように在宅でも『PCT』(Paliative Care Team:緩和ケアチーム)を作ることで患者様やご家族の穏やかな療養生活を支えることができるのではないか、と考えています。—————————————————————
対談記事は以上になります。
医師や看護師など、医療従事者の方のご見学なども可能です。
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医療法人社団 双愛会
事務局長 清水 雄司
y.shimizu@twinheartmedical.com